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弁護士業界で人を育てる2つのもの+α – 弁護士鶴間洋平の「新時代のプロフェッションを目指して」
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弁護士業界で人を育てる2つのもの+α

組織と市場 - 人を育てる2つのもの – Chikirinの日記 for DU

超有名ブロガーちきりん氏のエントリです。
私が読んだのは2年ほど前と思いますが、読んだその瞬間に衝撃を受けました。

弁護士業界でも、ずっと、ちきりん氏のいうように、組織と市場の二つが人材を育ててきたのでしょう。小さい法律事務所であっても、経験を伝えていく機能があれば、ちきりん氏のいう「組織」と考えていいでしょう。ただし、ずいぶん昔は、ちきりん氏のいう「ボトム2割」の弁護士でも仕事を続けてこられたのだと思います(それはそれで問題だったかもしれません)。

しかし、現在、「組織」によって育成される機会を失った層が、弁護士業界で急激に増加しています。

即独立する(せざるを得ない)弁護士や、一旦は就職できたものの何らかの理由で十分な経験を積まずに独立せざるを得なくなった弁護士たちです。

ちきりん氏の上記エントリによると、そういう弁護士であっても、2割はそのまま成長できるが、8割は成長の機会を失ってしまうことになります。私の実感としては、弁護士の仕事は結構難しいですから、いきなり独立してうまく成長できるのは、2割を切るのではないかと思います。ちなみに、自分でいうのも何ですが、私はおそらく「組織」による育成なくしては成長できなかったタイプ(中間層)です。

ところで、世の中の多くの業界では、育成されなかった人材は、その業界から単に撤退するだけのことでしょう。しかし、弁護士には、その気になれば悪用することができる強大な権限が与えられています。ただし、悪用したのがバレると懲戒になりますので、普通は悪用しません。

しかし、人生の貴重な青春期の数年間を費やし、保証人付の借金まで背負わされて登録した弁護士が、権限の悪用と素直な撤退の二者択一に追い込まれていく事態も、現実の問題として想定せざるを得なくなるでしょう。両者がどのくらいの割合になるのかは、私にはちょっと想像がつきませんが、残念ながら一定割合は前者に陥るでしょう。
また、やむを得ず撤退を選択する弁護士も、撤退までの間、かなりの顧客の事件処理をするはずです。

そういう事態を想像し、私はこのエントリを読んだときに衝撃を受けました。
仮に切り拓いていくべき業務があるとしても、それでは解決にならないのです。

その後2年ほど経ちますが、現在は、市場に淘汰されつつあるベテラン弁護士たちの不祥事が目立ちます(それはそれで大問題ですが)。しかしその後、ちきりん氏のいう「中間層の崩壊」と、それに伴う不祥事・苦情の嵐が弁護士業界に訪れることでしょう。

そのときのための方策は、今のところ、我々は持ち合わせていません・・・。