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弁護士業務の守秘義務に耐える(?)クラウドサービス – 弁護士鶴間洋平の「新時代のプロフェッションを目指して」
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弁護士業務の守秘義務に耐える(?)クラウドサービス

技術の進歩に伴って、クラウドにファイルを保存するサービスや、複数のPC・モバイル端末間でデータの同期を行うサービスが発展してきました。これらのサービスは業務の効率を飛躍的に向上させますので、厳しい競争を勝ち抜くためには積極的に活用すべきです。しかし、我々弁護士は機密性の非常に高い情報を扱いますので、これらのサービスの利用には神経を使う必要があります。

ちなみにどうも某団体は、弁護士にこういう先端のサービスの利用が許されるかどうかについて、利用規約に機密保持の定めがあるかどうかを重視しているように思えなくもないですが(組織防衛的な考え方?)、現にクライアントその他の関係者に迷惑をかけないという観点からは、利用規約の内容よりも仕組み上どれだけ安全かの方に関心が向きます。弁護士という仕事柄、いくら契約で縛っても、ミスが出てしまうこととか中に悪意の人がいることがあることとか、よく知っていますので。

前置きが長くなりましたが、本エントリでは、一人の弁護士が業務の効率化のために、自分だけが使う複数のコンピュータやモバイル端末間でデータの同期を行うことを前提に、情報の機密性を保つことができる(できそうな?)いくつかのサービスについて見てみたいと思います。

1 dropbox+cloudfogger

Cloudfogger – Free File Encryption for Dropbox and the Cloud

言わずと知れたdropboxは、サーバーとローカルの複数の端末間でデータの共有・同期をするサービスです。最初から作業効率化のためのファイル共有を目的として開発されたようであり、その使い勝手は類似のサービスを大きく凌駕します。私も勉強会や任意団体の業務など、機密保持が関係ない場面ではdropboxを使い倒しています。しかし、ローカルとサーバー間の通信は強度の高い暗号化により保護されているとはいえ、サーバー内ではどのような状態で情報が保存されているかが不明であり、過去には数時間パスワードなしでログインできてしまうという致命的なトラブルが生じたことがある上に、少人数に限定されるとはいえ内部者がデータを閲覧することがある旨サイトに明記されており、私はちょっと怖くて弁護士業務には使えません。
しかし、私と同じようなことを考える人は多いのでしょう、cloudfoggerというソフトがあり、dropboxと連携して任意のフォルダ内のファイルを自動的に暗号化してくれます。
winでの使い勝手はなかなかだったのですが、macのアプリは完成度が低く、暗号化されたファイルの読み書きはできるものの「任意のフォルダ内のファイルを自動的に暗号化する」機能がないために、winとmacが混在する環境には向きませんでした。残念。

2 spideroak

SpiderOak | Online File Sharing & Cloud Backup Software | Private & Secure Data Storage for Business & Home

こちらもdropboxと同様に、オンラインストレージとローカルの複数の端末間でデータの共有・同期ができるサービスです。しかし、ローカルの端末でファイルを暗号化し、それをサーバーにアップロードするというのが基本の動作なので、spideroakの中の人も、自力で暗号を解読しない限りファイルの中身を閲覧することはできないようで、それを売りにしています。
もともとは外部のストレージに安全にバックアップを取るためのシステムから発展し、複数の端末間でのデータ共有・同期の機能を付け加えていったのではないかと思われます。そのために操作感が独特で、同期するそれぞれの端末用のバックアップのためのスペースがサーバー内の同じフォルダに個別に確保されており、それぞれの端末はそれぞれのスペースを覗きに行く、という感じです。また、アプリが多機能な分使い方がわかりにくいような感じで、中・上級者向けかもしれません。win、macで使い勝手に大きな差はないようです。
また、他人とのファイルの共有も機能としては備えていますが、dropboxと比べると、何人ものメンバーがファイルを共有しながら作業するためには使い勝手がいまいちです。このあたりはやっぱりdropboxが圧倒的に優れているところです。

3 wuala

Wuala – Secure Cloud Storage – Backup. Sync. Share. Access Everywhere.

こちらも同様に、オンラインストレージとローカルにある複数の端末間でファイルの共有・同期ができます。こちらは、ローカルの端末でファイルを暗号化するだけでなく、それを細かく分割してオンラインストレージにアップロードするために、より一層安全という触れ込みのようです。もともとは安全にデータを保存できるネット上の仮想ドライブとして開発されたようであり、たとえばwinからは「w」のドライブレターが振られた独立のドライブとして見えます。このwドライブ内の特定のフォルダとローカル端末の特定のフォルダを同期させることによって、結果的に複数端末間でファイルの同期をすることができます。
win、macともほぼ同等の内容のアプリが提供されていますが、macでは動作中にdocから隠すことができず(何か方法があるのかもしれませんが)、同期対象フォルダにファイルを保存した直後に当該ファイルのリネーム等の操作をしようとするとファイルが使用中との警告が出てしまったりと、ソフトの挙動がいまいちこなれていないような印象を受けます。

使って便利なのは圧倒的にdropboxなのですが、機密保持という観点から適切なサービスを選んで使い分けてみたいものです。